17型木製治山ダムについて
1. 枠ダムの基本姿勢
ア)望ましい施工位置の選定
堤の施工位置は、近くに保全対象がない場所とする。
木製ダムは施工実績が少なく、下流及び上流にコンクリート堤を設ける。
渓床勾配は、10%程度がよい。
渓床の石礫は、0.30m程度とする。
上流部に、大崩壊地がない。
土石流の発生が想定されない渓流とする。
H.W.L.は0.50m程度とする。 
樹木に覆われ冷涼な場所がよい。
イ)堤本体の安全性の検討(重力式ダムの設計による)
転倒に対する安全性
滑動に対する安全性
基礎地盤の支持力に対する安全性
中詰材が外力によるせん断変形に対して安全
ウ)設計条件
上流に貯砂機能を持たない堤に限る。
水の単位体積重量は、1.0tf/@とする。
中詰石の単位体積重量は、1.80tf/@とする。
摩擦係数:0.50
土圧係数:0.333
中詰材の内部摩擦角:35°
滑動に対する安全率:1.5
転倒に対する安定は合力の作用点が堤敷幅の1/3以内に入ること。
エ)枠組工法の特長
部材の標準化(1.0m・1.5m・2.0m)により端材をなくする。
基本的な部材の寸法が3タイプで部材が4タイプと基本形が少ないので簡素である。
ユニット化する事により、工場生産が出来る為に人件費の軽減と部材強度の向上を図る。
ユニットをブロック化する事により、事前にタイプ組立が出来るので現地施工の短縮を図る。 
枠組みする事により、堤体が立体連結となる。
中詰材は、掘削石礫を使用できる。
堤体に空隙を有する事は、灌木の進入や昆虫等の生息も可能と思われ自然環境に適応している。
2. 部材の考え方について
ア)部材寸法は1辺17cmの3面カット
部材どうしの接地面が3面となるため、施工性を考慮して3面カットとした。
部材の標準化により端材を少なくして歩留まりを上げるとともに、作業時間の短縮により人件費の削減を図る。
環境面に配慮し、防腐剤は使用しない。
生材使用について1度乾燥させてしまうと、腐りやすくなるので乾燥の必要はない。
腐朽に対する耐久性は辺材より、芯材が優れていると言われている。
  
参考)原木は径級は24cmの杉または桧 
1辺17cmを確保する為には24cmが必要であるが、部分的に丸みがあっても良い為24cmとする。
高知県内の市場には24cm前後の径級の原木が多く出荷されている。
(建築材ではない為価格の安い小曲、黒芯でも良い)
スギ材、ヒノキ材の使用部分は、地域の現状により判断する。
3. 工法を採用
ア)ブロック枠を組み合わせる。
高知県は降雨量及び降雨日数が多い為、施工中の災害を防止する為ブロックの組立により施工期間の短縮を図る。
平坦地で事前に組み立てれば、作業効率がよい。
1ブロックが1.5〜2.0m、有効高さ0.75m、根入れ0.75m、底面2.0mの柱枠体。
上流側直、下流側は洗掘の防止等を考慮して階段落としを採用。
腐朽に対する耐久性は辺材より、芯材が優れていると言われている。
イ)各部材の固定方法
基本的にφ=12mmボルトで固定とする。
ボルト穴はネジに対して4mmの余裕をとる。
ウ)その他
下流側(階段部)の天端の保護は、現地発生材の転石を使用する。
上流側は、現地の転石等で埋め戻す。
中詰材は、現地発生材(転石破砕後の割石)と5〜100cm使用する。
据え付け時の上下枠との連結固定とする。