15型木製治山ダムについて
木製治山ダム(枠ダム)
ア)木製ダムを開発するにあたって考慮した点
○高知県は降雨量及び降雨日数が多いので従来工法(コンクリート等)より部材強度が弱く、また、比重が軽い為増水による災害を受けやすくブロックの組立により施工期間の短縮を図る。
○堤体断面は上流のりは、直法として、下流のりは、洗掘の防止等を考慮して階段落としを採用した。
イ)枠組工法の特長
○単体ブロック枠を組み合わせる。
○1ブロックが1.5x2.0x2.0mの柱枠体としたのは、枠作成時に足場が必要なく施工が容易である。
○基本的な部材の寸法が3タイプで部材が4タイプと基本型が少ない。
○規格化する事により、工場生産が出来る為に人件費の軽減と部材の平均化を図れる。
○ブロック化する事により、単体のブロック組立が事前に出来るので工期の短縮と作業効率がよい。
○単体枠を不連続に組立てして、枠間を連結ボルト及び連結材で固定することにより、立体構造となる。
○中詰材は、床堀による掘削石礫を使用できる。
○堤体に空隙を有する事は、灌木の進入や昆虫等の生息も可能と思われ自然環境に適応している。
ウ)17型から15型に改良点
○1辺15cmに変更したのは、平成13年度工事(1辺17cm)において末口径が24cm以上となったために「材料単価」と「間伐材」の使用範囲の拡大を考慮する事となった。
○一段目の据え付け後に上下流枠の連結固定して一体化を図ることで中詰材の施工が可能となった。
エ)望ましい施工位置の選定
○堤の施工位置は、近くに保全対象がない場所。
○木製ダムは施工実績が少なく、下流及び上流にコンクリート堤を設ける。
○渓床勾配は、10%未満。
○渓床の石礫は、0.30m未満。
○上流部に、大崩壊地がない渓流。
○土石流の発生が想定されない渓流。
○越流水深は、0.50m未満。
○樹木に覆われ冷涼な場所。
○一年を通して湿潤な場所。
オ)堤本体の安全性の検討(重力式ダムの設計による)
○転倒に対する安全性。
○滑動に対する安全性。
○基礎地盤の支持力に対する安全性。
○中詰材が外力によるせん断変形に対して安全。
カ)設計条件
○上流に貯砂機能を持たない堤。
○水の単位体積重量は、1.0tf/@。
○中詰石の単位体積重量は、1.80tf/@。
○摩擦係数:0.50。
○土圧係数:0.333。
○中詰材の内部摩擦角:35°
○滑動に対する安全率:1.5。
○転倒に対する安定は合力の作用点が堤敷幅の1/3以内に入る。