中学校の部  

  キャンバスフレーム       
         大川村立大川小中学校
           八年 森田 晴陽
 
 僕は東京からこの大川村に留学をしてきた。今、この自然溢れる場所で何をすることができるのか、また、将来僕が自然とどう向き合っていくのかを考えていくためでもあった。
 ある休日、僕は部活で疲れていたので椅子に座りながらぼんやりと山を見て休んでいた。その山はどこからどう見ても「ただの山」だった。都会に住んでいても山は見慣れている。だから、特別な思いを持つこともなくその山から目を逸らし、本を読みに行った。
 その後のある休日、その日は晴れていて良い運動日和だったのだが、珍しく部活動がない日だったので、いつもよりも暇で少し憂鬱だった。またぼんやりと山を眺めていたら、絵を描いたら暇が潰せると閃いたので、ちょうど持って帰ってきていた絵の具バックを開き、目の前にある山を描き始めた。自分にしては上手に山と木を描くことができたと思っていたが、その絵は水で薄めた緑一色の、「ただの山」だった。
 ある日、自然に関係する作文を書いてくる宿題が出されて、自分は机にその宿題を置き、椅子に座って、真横にある山を本気でじっくり見つめ始めた。この前はぼんやり見ていたので気づかなかったが山の中の木を見るだけでも、枯れ果てて白くなってしまった木、まだ夏の季節なのに赤くなっている気が早い木、太陽光を独り占めするかのように長く伸びた薄緑色の木、まだまだ若々しくてどんどん伸びようとしている黄緑色の木、自分よりも長い年月生きてきて、時の流れというものを教えてくれるような、もう葉が濃い緑色となってしまった老木など、幾つもの色の木がその一つの山の中にまるでおもちゃ箱のように詰め込まれていた。その様子を見た僕は、その窓から見た色とりどりの山を言い換えて「キャンバスフレーム」と名前をつけた。
 さらにその後の休日、留学先のイベントのようなもので、植物をよく知っている人と、あの「キャンバス」に登って、生物観察をすることになった。自分は山登りと観察が好きなので、気合が入っていた。そしてその山に入ることで気がついたのが、遠くから見るだけではわからなかったような、トゲトゲの葉っぱ、木に巻き付いたつる、そして腐った木にこびりついて生きているコケや、白、黄色、赤、ピンク、青、紫の色に咲いた花々、そして葉の陰に隠れていた黄緑・・・・・・である。
 植物に物知りな人が「おぉ、シュンランか、珍しいね」と言ってくれた。その言葉に僕は嬉しくなって、周りを探していると、大きな獣が通ったであろう道、耳をすまぜば都会では聞いたこともないような綺麗な鳥の声などに気づいた、また、あたりが一気に「パァッ」と音をたて、明るくなったような気がしたのち、この山は「自然と色が溢れ混ざったキャンバス」なのだということに気がづいた。
 その後日、今度は美術の授業で絵を描くこととなった。自分は山の広さ、そして大きさの迫力を表現しつつ、思いつくがままに絵を描いた。そして完成した絵は、力強く、大きく、そして緑色だけでなく、赤、白、黄色などの様々な色が使われた「山」だった。