中学校の部

  身近な自然の価値
	          いの町立吾北中学校
                 一年 川 村 美 由 
 
  私の家の食卓には、祖母が畑で作った美味しい野菜が並びます。吾北の豊かな自然の中で作られた野菜は本当においしくて、いくらでも食べられます。
 私は、四月の中学校入学を機に、父の故郷であるいの町吾北に引っ越してきました。吾北に来る前は、大都市である横浜市に住んでいました。横浜市では、朝から車の音がひっきりなしに聞こえてきます。駅には大勢の人がバスや電車が来るのを待っているし、信号がたくさんあるので、どこへ行くにも時間がかかりました。当然きれいな川もありませんし、道路の脇の歩道には植えられた木がある程度です。人が多くてごみごみしているし、道行く人はみんな何かにせかされるように急いでいます。空気は汚れていて、なんとなく朝から気持ちが疲れているような気分になっていました。普段の生活の中で自然と触れ合う機会がないので、小学校では「田植え」の授業があったり「稲刈り」の授業があったりしました。しかし、その田んぼもいつの間にか道路に変わってしまいました。私の家の近所には公園がありました。その公園は人工的に自然を残そうとしている場所でしたが、それでもベンチに腰かけてひと眠りするのはとても心地がよかったです。
 高知に引っ越すことになって、祖父母と両親との五人で吾北での暮らしが始まりました。小学校の時、長期の休みには両親と吾北を訪れることもありましたが、実際に暮らし始めてみると改めて自然の良さを実感することになりました。空気はおいしいし、川のせせらぎが聞こえてくるし、夜には虫の声も聞こえてきます。横浜市では考えられないことです。中学校の教室の窓からも雄大な自然を目にすることができます。横浜市の小学校ではビルしか見えませんでした。休み時間に外の景色を見ていると、何とも言えない心地いい気分になります。また、吾北中学校は至る所に木が使われていて、校舎の中にいることがとても心地いいです。給食は、吾北で作られた野菜が出され、とてもおいしいです。水がいいせいだと思います。私は吾北に来てから野菜のおいしさに気づき、カレーに入っているナスが食べられるようになりました。きゅうりも好きになりました。転入してきた私をクラスの友人たちは温かく迎え入れてくれました。優しくて元気な人が多いのもこの雄大な自然の中で毎日生活しているからだと思います。
 一学期には、授業でバスツアーに行ったり紙漉き体験に行ったり、ラフティングに行ったりと、大自然を満喫できました。特に、ラフティングでは、仁淀ブルーと呼ばれる美しい川に感激しました。魚が泳いでいるのが見えるのです。これらはすべて吾北の雄大な自然のおかげだと思います。私は、吾北が大好きです。ビルはお金を出せば建ちますが、吾北の自然はお金を出しても作れません。何百年もかけてこの自然を守ってきた人たちに感謝し、私は、今日も自然の価値を実感しています。