中学校の部

   森の中の通学路

	      大川村立大川中学校
            一年 近 藤   樹 

 僕の登下校の道は、自然豊かだ。毎朝通る通学路は、ほとんど下りだ。コンクリートの道にはヒビがある。そのコンクリートのすきまから草がひょっこり生えていたりする。道路のそばは、立派な木がたくさん。すぐそこに、木がたくさんある。途中で、岩肌がみえるところもある。地震が来れば、いつくずれてもおかしくないくらい、ヒビが入っている。台風が来ると、よく道に岩が落ちている。十五分ほど歩いたところで、スクールバスを待つ。そして、バスに乗り、学校へ向かう。下校時の道は、少しちがう。バスが上まで、つんで行ってくれる。登校のときは、下りが多く楽なぶん、帰るときは、坂道で、きつい。
 こんな道を、小学一年生から、七年間ずっとてくてく歩いている。春には、木々の間をそよ風が通りぬけて、吹きぬけていく。「サァー」この音がとても心地良い。青空の日は、木の葉の若々しさや、やわらかい感じ、スベスベしている感じがとてもいい。日差しを反射して、光っている。緑は、見ていて心が落ちつく。春が過ぎて、梅雨になる。この時期になると、カエルが鳴きだす。そこらじゅうから「ゲェーコゲェーコ」と聞こえてくる。毎年、同じ場所に出現するカエルもいる。そのカエルの前を通れば必ず「ゲコー」と鳴く。初めて聞いた人は驚くだろう。その鳴き声の低さと、太い声で、犬の鳴き声とかんちがいするほどだ。台風もすこしずつ来て、道には、スギの葉が、たくさん落ちている。そして、「夏」になる。夏になると、いろんな動物が登場してくる。その中でも、僕が一番きらいなのはヘビだ。夏になると、暑くて、朝から出てきてアスファルトの上で涼んでいるヤツもいる。僕が、ヘビを一度に見た量で、五、六匹かたまっていたこともある。たまに、じっとして、死んでいるのか、生きているのか、分からないときもある。それが一番怖い。サルもよく見るようになる。たまに、群れで、大移動しているときもあり、びっくり仰天する。
 秋になると、木の実が落ちて来るようになる。木の実のほかにも、たまに、リスに食べられた、マツボックリもある。さらに、紅葉も、始まる。色づき始めると、「秋だなあ。」と実感する。そのくらいから、日が沈むのが早くなる。部活動で帰るときには、日がもう落ちかけている。
 冬になると、雪が降る。僕の住んでいる大川村は、だいたい師走くらいから、降り始める。小学生のころは、雪玉を作って、木々に当てて、木の上にこんもり積もった雪を落として遊んでいた。さらに、朝から、一面銀世界のときもある。その光景が、僕はとても好きだ。雪がしんしん降るなか、登校するのも悪くない。そして、このころには、部活帰りは、真っ暗だ。こうなると、普段とは少し違う。必需品の小さなライトを忘れたら、もう月明かりをたよりに帰るしかない。でも、けっこう明るく夜道を照らしてくれる。きれいに星が出ているときは夜空を見上げつつ帰る。幾千もの星は、じっと見ると、赤や青、白、黄色に光ってとても美しい。
 僕は、こんな自然豊かな、大川村が好きだ。そして、この自然を、僕の美しいふるさとを、これからの世代にも残していきたい。