思い出の木                    
         中土佐町立久礼小学校
              六年 岡  芽 映 
  私の家は五年前に完成しました。その時、家が建った思い出に、一本の木を植えました。植えた木の高さは、当時一年生だった私と一緒くらいで、無事に大きくなってほしいと願いながら母と一緒に植えました。
 木を植えたのはちょうど冬から春に向かう頃でした。一日一日が過ぎて行くうちに、その木はだんだん大きくなり、我が家のトレードマークになりました。
 春になると冬眠していた虫達がその木に集まってきます。そして、どこからやってきたのか、鳥が巣を作り始めます。ピーチクピーチク。小枝を重ねた中に大きな巣ができていて、鳴き声が聞こえると、春が来たんだなと思います。
 夏が来ると鈴虫やセミがやってきます。リンリン。私の好きな夏の夜の虫達の合唱会です。静かな久礼の町に響く自然の合唱のハーモニーに耳を傾けます。
 木を植えてから、我が家にやって来る生き物が増えました。虫や鳥の鳴き声を聞いていると自然の世界に連れて行ってくれるようで、すごく楽しいです。生き物を観察するのも新しい発見があってわくわくします。
 ある日、大きな台風が来ました。雨も風も強く、葉っぱがいっぱい飛んでしまって、もう生き返らないだろうなと思うほどでした。
 でも一カ月後の朝、ふと木を見ると、新しい葉っぱがいっぱい生えてきていて、以前のように虫が大集合していました。もうだめだと思っていた木がたった一ヶ月で元気になっているその姿に勇気づけられました。
 我が家の思い出の木は、私より何十年、何百年と長生きすると思います。これから先、また自然災害が来たとしても、負けない強い木に育って欲しいと思います。私の思いと一緒にどんどん成長し、大きくたくましくなり続けて、家族を見守ってほしいと思います。